医療現場では、人工知能であるAIの導入が急速に進み、これまでは人の手に頼っていた業務や判断の一部が自動化されつつあります。
診断や治療の精度向上だけでなく、医師の負担軽減や地域医療の格差是正にもAIの貢献が期待されており、医療の未来を左右する技術となっています。
医療におけるAIの主な活用機能においては、特に画像診断支援における活用が急速に進展しています。主に下記の用途で導入が進んでいます。
1.AIが医師より先に画像を診断、胸部X線やCT、MRIなどの膨大な画像から異常を抽出する、「診断の事前支援」
大量の画像診断が求められる現場での負担軽減が期待できます。
2.医師の診断後にAIが再確認する、「診断後のダブルチェック」
見落とし率が低減し、診断の信頼性が高まります。
ディープラーニングを活用したスクリーニング支援によって、医師は重点的に画像の確認に注力することが可能となり、診断精度の向上に繋がります。
3.内視鏡や超音波検査の最中に、AIが病変の兆候を即座に検出して可視化することで、医師の判断をサポートする「診察中のリアルタイム支援」
病変の見落しのリスクを低減しつつ、診察中の判断負荷を抑えることができるだけではなく、医師の業務負担の軽減にも繋がります。
将来的に、専門医により正常・異常などの正解の判別が事前にラベリングされた医療画像データの大量収集と、併せてそれを活用するための体制構築が図られることによって、更なる分析精度の向上が期待されています。
このように、医療AIは診断精度の向上や事務作業の効率化などといった多くのメリットをもたらし、今後の医療現場における中核的な技術として期待されています。
一方で、導入に際しては、学習データの確保や人間の判断とのバランスといった課題も存在しています。
医療現場にAIを導入する際には、想定されるリスクへの対策を講じることが重要となるのです。
そして、社会全体で倫理・法的な枠組みの整備が同時に進んでいくことも、医療AIの進歩には欠かせないことになるでしょう。