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投稿内容
各LLMの生い立ちから得意分野を考察してみた ~Claude編~
投稿者: signalさん
投稿日:2025/07/04 14:32
更新日:2025/07/04 16:23
1
分類
技術
テクノロジー
全般
キャリア
運用・保守
投稿内容
はじめに
前回のGPT編で述べたように、ChatGPTはとにかく「会話のしやすさ、使用ハードルの低さ」で大人気だということが分かったと思います。
ですが、他にも注目すべき存在がいます。今回取り上げるのは、2023年に登場してから着実に存在感を増している
「Claude」
です。
GPQAベンチマークでは "無料モデルにもかかわらず" 世界二位を取っています。
(GPT-4ベースのLLMは正答率39%ですが、
Claude Sonnet3.5は驚異の
正答率84.8%
です。
)
GPQAベンチマークランキング:
https://llm-stats.com/
評価ベンチマークについて:
https://qiita.com/shibu_phys/items/4497a2356f3c70b1053e
開発元のAnthropicは一見すると新参者に見えますが、実は創設者の経歴を見ると面白い発見があります。
OpenAIの元上級メンバーで、兄妹でもある「ダリオ・アモデイ」と「ダニエラ・アモデイ」によって2021年に設立されているんですね。
つまり、GPTの内部事情を知り尽くした人物たちが、「もっと良いAIを作れるのではないか」と考えて立ち上げた会社というわけなんです。
この記事では、Claudeの開発史をたどりながら、なぜこのAIが特定の分野で強みを発揮するのかを探っていきます。
歴史
Claude 1
(2023年3月)— 「憲法」を持つAIの登場
最初のClaudeモデルは2023年3月に一般公開されました。この時点で既に、Anthropicは他のAI企業とは異なるアプローチを取っていました。
技術的特徴:
Constitutional AI(憲法AI)という独自の安全性フレームワークを採用
従来のRLHF(人間フィードバックによる強化学習)に加えて、AIが自己改善できる仕組みを導入
長文コンテキストの処理能力を重視した設計
画期的だった点:
Constitutional AIは、人間が提供する一連のルール(憲法)に従って、AIシステムを人間の価値観に合わせる仕組みとして開発されました。
これまでのAIは、人間が「これは良い回答」「これは悪い回答」と一つ一つ教えていましたが(GPTの回答末尾にあるやつがいい例)、
Claudeは基本的な価値観を理解して自分で判断できるようになったのです。
実際に使ってみると、他のAIより慎重で、倫理的な配慮が感じられる回答をすることが多いです。
これは単に「安全」なだけでなく、複雑な問題に対してもバランスの取れた視点を提供してくれる、という強みがあるわけです。
Claude 2
(2023年7月)— 大幅な性能向上と実用性の拡大
Claude 2では、基本性能が大幅に向上しました。
技術的改善:
コンテキスト長が大幅に拡張(約100,000トークン)
数学的推論能力の向上
コード生成・デバッグ能力の強化
ファイル処理能力の実装
100,000トークンというのは、だいたい本1冊分の文章を一度に処理できる計算になります。
当時としては驚異的なトークン数で、数百ページのPDFや長文データを一度に処理できるようになったことで、実用性が飛躍的に向上しました。
ChatGPTが短い会話を得意とするのに対して、Claudeは長文を扱った作業で真価を発揮する設計になっているのが興味深いですね。
Claude 3ファミリー
(2024年3月)— 3つの「性格」を持つAI
Claude 3ファミリーは、Haiku(速度重視)、Sonnet(バランス型)、Opus(複雑推論向け)の3つのモデルで構成されています。
Haiku
:軽量で高速。チャットボットや簡単な質問応答に最適
Sonnet
:能力と性能のバランスが取れた中核モデル
Opus
:最も高性能で、複雑な推論タスクに特化
これは面白いアプローチで、用途に応じて使い分けができます。
GPTが「性能が高いpro版かそうでない廉価版か」という「万能型」を目指しているのに対して、Claudeは「専門特化」の方向性を取っていることが分かります。
さらに、これらのモデルはテキストと画像の両方を処理可能になり、マルチモーダル対応も実現しました。
(以前のClaudeは特殊なやり方をしないと、画像を読めませんでした。)
Claude 3.5 Sonnet
(2024年6月)— 「Computer Use」革命
Claude 3.5 Sonnetは、競合モデルやClaude 3 Opusを上回る性能を2倍の速度で実現しましたが、それより注目すべきは新機能でした。
Computer Use機能:
実験的なAI機能として「
Computer Use
」が導入されました。これは、AIが実際にコンピューターの画面を見て、マウスやキーボードを操作できる機能です。
つまり、「エクセルでグラフを作って」と言えば、AIが実際にエクセルを開いて操作してくれます。これは他のAIにはない、Claudeならではの特徴となっています。
・・・でもちょっと怖がられて、問題になったりもしました(笑)
Claude 4
(2025年5月)— 現在の最新版
Claude 4は2025年5月にリリースされ、OpusとSonnetを含みます。詳細なスペックは公開されていませんが、Opus 4は2.4兆パラメーターのバックボーンで
20万トークンのコンテキストウィンドウを持つ
とされています。
なぜClaudeは"その分野"が得意なのか?
① 長文処理・文書分析に圧倒的に強い理由
アーキテクチャ的な設計思想:
Claudeは最初から「長いコンテキストを扱う」ことを前提に設計されています。GPTが会話のキャッチボールを得意とするのに対し、Claudeは「じっくり考える」タイプのAIです。
実用例:
契約書の要約・分析
学術論文の読解
議事録の整理
小説の校正・編集
これらの作業では、「一度に大量の情報を処理できる能力」が威力を発揮します。
ちなみに前回の記事は、(敢えて)GPTに書かせたものですが、今回の記事はClaude Sonnetを使いつつ書いています。
読み比べてみるとわかりますが、Claudeの書いた記事はとにかく読みやすいですよね。
「そもそもGPTはこういった文書作成を得意としていない」というわけなんです。
② 安全性・倫理性に配慮した回答が得意な理由
私がClaudeを普段使うのは、「とにかくこの部分に魅力を感じている」というのが大きいかもしれません。
Constitutional AI:
Anthropicは、善悪を見極める倫理原則であるAIの「憲法」と呼ばれる独自の方針で、Claudeに倫理的ガイドラインを組み込んでいます。
これは単に「危険な内容を避ける」だけでなく、複雑な問題に対してもバランスの取れた視点を提供します。例えば、政治的な話題でも一方的でない、多角的な回答をすることが多いです。
OpenAIとの思想的違い:
OpenAIが「とにかく役に立つAI」を目指しているのに対し、Anthropicは「安全で信頼できるAI」を重視しています。この違いが、Claudeの「慎重で丁寧な」性格につながっています。
③ コード生成・デバッグにおける独特の強み
人間の意図を理解する能力:
Claudeは単にコードを書くだけでなく、「なぜそのコードが必要なのか」を理解して提案してくれます。
特徴的な得意分野:
エラーの根本原因分析
コードレビュー・改善提案
複雑な仕様書からの実装
レガシーコードの解析・説明
GPTが「とりあえず動くコード」を書くのに対し、Claudeは「保守性の高いコード」を意識している傾向があります。
コーディング系のSWE-benchでは、
無料モデルであるSonnet 4が56.67%のスコアを記録しています。(世界二位)
https://www.swebench.com/
また、はじめて投稿した記事で「MCPサーバー」について取り上げましたが、そのなかでも特にClaudeのMCPは人気でした。
「嘘をつきにくい」安全性や、丁寧な性格が愛されているんでしょうね。
まとめ:Claudeの生い立ちは「慎重で信頼できる」専門家AIを生んだ
Claudeの開発史を見ると、一貫して「AI安全性」と「実用性」のバランスを重視していることが分かります。
GPTが「万能な会話相手」を目指しているのに対し、Claudeは「信頼できる専門アシスタント」という立ち位置を確立しているんですね。
元開発者たちがOpenAIでの経験を活かし、「ChatGPTの弱点を補完するAI」を意図して作りあげられたのは、めっちゃかっこいい生い立ちだと思います。その結果、安全で専門的な分析といった独自の強みを発揮するAIが生まれました。
実際の性能面でも、多くのベンチマークでGPTを上回る結果を出しており、特に推論や分析が必要なタスクでは圧倒的な強さを見せています。
今後、AI技術がさらに発展していく中で、Claudeの「慎重で丁寧」なアプローチがどのような価値を生み出すのか、引き続き注目していきたいです。
次回は、Google発、ベンチマークスコア・コンテキスト長が世界一位の「Gemini」について取り上げる予定です。
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