こんにちは。最近ふと「AIって、どこまで強くなっているんだろう?」と思い調べてみたところ、
どうやらボードゲームの世界ではすでに人間が敵わない存在になっているようです。
今回はそんな、AIが人間に勝利したボードゲームたちについて、いくつか印象的な例をご紹介してみたいと思います。
最初に目にしたのは、1997年のチェスの対局でした。
IBMが開発したスーパーコンピューターDeep Blue(ディープブルー)が、
当時の世界チャンピオンであるガルリ・カスパロフ氏に勝利したのです。
チェスは論理的な思考が求められるゲームのため、コンピューターが強いのは予想できるものの、
「人間が勝てない」という現実は、当時多くの人々に衝撃を与えました。
▸ 年:1997年
▸ AI:Deep Blue(IBM)
▸ 相手:ガルリ・カスパロフ(世界チャンピオン)
「囲碁だけはAIには難しい」と長らく言われてきました。
ところが、2016年に登場した**AlphaGo(アルファ碁)**が、その常識を覆します。
相手は韓国のトップ棋士、イ・セドル九段。結果はAlphaGoの4勝1敗。
人間には予想もできない着手を次々と見せ、プロ棋士たちを驚かせました。
▸ 年:2016年
▸ AI:AlphaGo(DeepMind)
▸ 相手:イ・セドル九段
▸ ポイント:人間では考えつかない「第37手」は歴史的な一手として語り継がれています。
日本の将棋界でも、AIは着実に進化してきました。
そして2017年、将棋ソフトPonanza(ポナンザ)が、
当時の佐藤天彦名人に公式戦で勝利を収めました。
将棋は取った駒を再利用できるという特徴があるため、チェスや囲碁以上に複雑とも言われますが、
その将棋でも、AIが名人を破ったのです。
▸ 年:2017年
▸ AI:Ponanza
▸ 相手:佐藤天彦 名人
▸ ポイント:これを機に、プロ棋士もAIとの研究を本格化させました。
チェッカー、別名ドラフツは非常に古くから親しまれているボードゲームの一つです。
1994年、AIの代表的なソフトウェアChinook(チヌーク)が、
当時の世界チャンピオンであるドナルド・ブレンキンリッジ氏に勝利を収めました。
この勝利は、AIがチェッカー界で初めて人間のトッププレイヤーに公式戦で勝った歴史的な瞬間でした。
チェッカーは盤面の状態が完全に見える「完全情報ゲーム」であり、
その後の研究により最適解に近いプレイが可能とされています。
▸ 年:1994年
▸ AI:Chinook
▸ 相手:ドナルド・ブレンキンリッジ(世界チャンピオン)
▸ ポイント:AIが公式に人間世界チャンピオンを破った最初の事例であり、AIゲーム研究の大きな節目です。
オセロ(リバーシ)は比較的シンプルなルールを持つボードゲームですが、
実は1997年の時点ですでにAIが世界チャンピオンを圧倒していました。
そのAIの名はLogistello(ロジステロ)。当時の世界王者である村上健氏に対し、6戦全勝という圧倒的な強さを見せました。
▸ 年:1997年
▸ AI:Logistello
▸ 相手:村上健(世界チャンピオン)
▸ ポイント:完全情報ゲームゆえにAIが圧倒的に有利でした。
意外なことに、サイコロを用いるバックギャモンでも、AIは人間を上回る強さを見せています。
1990年代に登場したTD-GammonというAIは、強化学習という手法を通じて自らの戦略を磨き、
ついにはプロと互角に戦えるレベルに達しました。
▸ 年:1990年代
▸ AI:TD-Gammon
▸ 相手:トッププレイヤーたち
▸ ポイント:自己学習型AIの先駆けとも言える存在です。
ゲーム名 | 勝利したAI | 勝利年 | 相手 |
---|---|---|---|
チェス | Deep Blue | 1997 | カスパロフ(世界チャンピオン) |
囲碁 | AlphaGo | 2016 | イ・セドル九段 |
将棋 | Ponanza | 2017 | 佐藤天彦 名人 |
チェッカー | Chinook | 1994 | ドナルド・ブレンキンリッジ(世界チャンピオン) |
オセロ | Logistello | 1997 | 世界チャンピオン |
バックギャモン | TD-Gammon | 1990年代 | トッププレイヤー |
こうして見てみると、かつて「人間の知の象徴」とされたボードゲームの多くで、
AIがすでに人間を上回っているという現実に驚かされます。
今では、多くのプロ棋士や研究者が、AIを“学びのパートナー”として活用しているそうです。
AIがもたらしたこの進化は、人間の知性の限界を広げる第一歩なのかもしれませんね。