最近は自宅に固定電話を置いているご家庭は少なくなったが、ご高齢の方や会社ではまだまだ現役で使用されていることも多い。
だが電話もその他家電と同じく、当然の如く不具合はつきものだ。
私は以前某通信会社で電話回線の故障窓口の業務に携わっていたので、そうした電話にまつわる故障申告をいくつも受けてきた。
「家の固定電話が使えなくなった。」「お客様から会社宛ての番号に掛けても一向に誰も出ないとｸﾚｰﾑが入る。」
今日はそんな時に原因を調べるためのﾍﾞｰｽとなる知識を皆さんに提供出来ればと思う。
今回は中でも一般家庭等でよく利用される主な回線とその対処法について紹介する。

＜ｱﾅﾛｸﾞ回線＞
ｱﾅﾛｸﾞ回線は回線状態が閉じたり開いたりすることにより、信号の送受信を行っている。
受話器が上がっていると回線が閉じて話中状態になり、受話器を置くと回線が開かれて着信可能となる。
そのため受話器が上がった状態だと、外から電話を掛けても話し中となって繋がらない。
それと同じ状態を発生させるのが線潰れである。
ｺｰﾄﾞ内の銅線2本がくっついてしまうとｼｮｰﾄと呼ばれる状態となり、着信時に話中音（ﾋﾞｼﾞｰﾄｰﾝ：BT)が流れる。
では線が抜けるとどうなるか。この場合は回線は閉じようがないため、外部から電話を掛けてもずっと呼び出し音（ﾘﾝｸﾞﾊﾞｯｸﾄｰﾝ：RBT）が流れる。
この状態で端末の受話器を上げると無音状態となる。
もしご自宅の電話がｱﾅﾛｸﾞ回線を使用しており、電話が使えなくなった場合はまず該当端末の受話器を上げて何が聞こえるかを確認しよう。
何も音が聞こえなければどこかで線抜けもしくは断線している可能性が高く、話中音が流れればどこかでｼｮｰﾄしている可能性が高い。荷物で線が押しつぶされていないかなどを確認してほしい。

＜ISDN回線＞
このﾀｲﾌﾟの回線は、通信路上でﾃﾞｰﾀをやり取りするうえでDSUという終端装置が不可欠となる。
基本的にはTA（ﾀｰﾐﾅﾙｱﾀﾞﾌﾟﾀｰ）という機器にこの装置が内蔵されているため、TAに電話を装着することで電話を掛けることが出来る。
こちらの回線ではｱﾅﾛｸﾞ回線と異なり、家の電話線差し込み口（ﾓｼﾞｭﾗｰｼﾞｬｯｸ：MJ）に電話ｺｰﾄﾞを直接繋いでも電話は使えないので、注意してほしい。この間違いは結構多い。
まずはﾓｼﾞｭﾗｰｼﾞｬｯｸ＋TA＋電話機という構成になっているか確認してみよう。
その上でTAの電源が入っていなかったり、壊れていたりしないかを確認しよう。
因みにTA(もしくはDSU）が未接続、あるいは電源ｵﾌ・故障などの場合、その番号に電話を掛けると話中になる。
逆に外から掛けて呼び出し音が聞こえる場合は、少なくともTAまでの通信は出来ていると判断できるので、ｺｰﾄﾞの差し込み確認や電話等の故障を探ってみよう。

■稀にある勘違い
引っ越し先にただ電話機を持って行って繋げただけでは電話は使えない。
あなたの固定電話の番号に紐づいているのは線番という識別番号であり、登録住所と紐づけられている。
電話機は単なるﾚｼｰﾊﾞｰに過ぎない。
四の五の言わず移転手続きをしてくれ。

■不具合に気付いたが一刻も早く使えるようにしたいあなたへ！
電話の不具合に気付いたが、お店で使用していてずっとこのままでは困る。
どうにかして今すぐにでも着信を受け取れるようにしたい...。
お店をやっていなくても電話の早急な復旧は誰しもの願いだと思うが、外部の電線等が起因の場合は復旧まで数日を要すると考えたほうがよい。
電話機本体など宅内側の原因でない限りは、その日に復旧することはまずないだろう。
そんな時は故障窓口に転送ｻｰﾋﾞｽが利用できないか確認してみよう。
この転送機能は該当の電話回線が使えなくなった場合に、その番号に掛かってきた着信を別の番号で受け取ることが出来る（家の電話が使えないから、修理の間だけ携帯に転送...etc）。
基本的にどこのｷｬﾘｱでもこのような救済措置を行っているので、困ったらご自身が契約している電話の故障窓口にそうした措置をしてもらえないか相談してみよう。

以上である。
今日紹介した知識を生かして電話不具合を直すことが出来れば、君は一躍ﾋｰﾛｰになれるだろう