<IPv4枯渇問題>
現在主流で使われているIPv4(32ビット4オクテットのIPアドレス)は、使用可能な42億個のすべてが消費され、枯渇すると言われています。
実際、2019年の11月をもって、欧州で使用できる6億個のIPアドレスが完全に枯渇しました。日本のIPv4アドレスも、3年後には消費され尽くすと言われています。
このアドレス枯渇問題を解決するために登場したのがIPv6です。今回はこれについて紹介させていただきたいと思います。
IPv6の表記
IPv4…32ビット、8ビットごとに区切られ、4オクテット。2の32乗(42億個)
IPv6…128ビット、16ビットごとに区切られ、8オクテット。2の128乗(340潤個)
IPv6は128ビットあり、10進数で表すと長い数列になるので、16ビットずつ:で区切り、8つのフィールドに分け、16進数で表記する。それでもまだ長いので、以下の省略方法を紹介します。
IPv6の省略
① 各フィールドの先頭の0は省略可能
② ビットが全て0のフィールドが連続する場合、::で省略可能(一つのアドレスに一つだけ使用できる)
③ フィールドのすべてのビットが0の場合、0ひとつで省略可能。
IPv6のプレフィックス
IPv4では、ネットワークのアドレスを表すネットワーク部と、そのホストのアドレスを表すホスト部に分かれていた。
IPv6でのネットワーク部をプレフィックス、ホスト部をインターフェイスIDと呼ぶ。
IPv4では、ネットワーク部とホスト部の境目を、サブネットマスクで表記していた。
IPv6では、サブネットは使わず、CIDR表記と同じように、/を用いて表す。
例)2001:db8:1234:1::1:1/64
この場合/64なので4オクテットまでがプレフィックスとなる。(2001:db8:1234:1::まで)
また、プレフィックスは一部の固定のビットを表す場合にも使用される。
例えば、2000::/3は、2進数にした時の先頭の3ビットが001で始まるアドレス。
FE80::/10なら、先頭10ビットが1111 1110 10で始まるアドレスとなる。
IPv6の種類
ユニキャストアドレス
1対1の通信で利用される。IPv4と同じく、特定のインターフェイスに割り当てられる。
マルチキャストアドレス
1対多の通信で利用される。IPv4と同様に、特定のグループを宛先アドレスとして利用する。
エニーキャストアドレス
1対多のうちの1(一番近いノード)との通信に利用される。複数のノードのインターフェイスに対して同じユニキャストを割り当てるが、パケットは、そのアドレスをもつ最も近いノードのインターフェイスにのみ転送される。
アドレススコープ
アドレススコープは、アドレスの有効範囲を表す。
① グローバル
IPv4と同じ。インターネットを含むすべてのIPv6ネットワークに接続できる。グローバルユニキャストアドレスは、先頭3ビットが001(2000:/3)ではじまる。
② ユニークローカル
IPv4におけるプライベートアドレスのようなもの。組織内でしか有効でないユニキャストアドレス。IPv6はアドレス空間が広く、枯渇する心配はないので、ユニークローカルアドレスは必要に応じて割り振る。ユニークローカルユニキャストアドレスは、FD00::/8のみで利用可能。上位8ビットは1111 1101。
③ リンクローカル
自分が所属しているセグメント上でのみ有効で、ルータを越えてパケット転送できない。リンクローカルユニキャストアドレスは、FE80::/10で始まる。
特殊なアドレス
ループバックアドレス
自分自身を表すアドレス。IPv4における127.0.0.1に相当する。
::1(0.0.0.0.0.0.0.1)で定義されている。
未指定アドレス
すべてが0のアドレス。::(0.0.0.0.0.0.0.0)で、文字通り、アドレスがないことを表す。IPアドレスを自動取得するときの送信元IPアドレスとして使われるなど。
文書用IPv6アドレス
2001:db8::/32で表す。技術文書やトレーニング資料などのドキュメントに使用される。インターネット上で通信できない。
IPv4射影アドレス
IPv4アドレスをIPv6アドレスに見立てて使える。IPv4しかサポートしていないノードと通信する場合に使える。上位96ビットを0、下位32ビットにIPv4アドレスを使う。(::FFFF<ipv4address>)
IPv4互換アドレス
RFC4291で廃止されたアドレス。IPv6ノード同士がIPv4ネットワークで通信する場合に使うアドレス。::<ipv4address>で表記される。
今回は以上となります。
IPv4からIPv6への移行方法については、また別途紹介させていただければと思います。
ありがとうございました。
参考資料:http://blog.adjust-work.com/1411/
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/03330/
https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No32/090.html
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/06548/
高橋隆志2019『徹底攻略 Cisco CCENT/CCNA Routing & Switching 教科書 ICND2編〔200-105J〕〔200-125J〕v3.0対応』株式会社ソキウスジャパン,334-340頁。